東京大学特任教授の中川恵一氏が、日本人男性の3人に2人、女性の2人に1人が、

がんを経験すると言われる現代を「がん社会」と呼んでいました。

がん患者、とくに働くがん患者であふれる社会を指してそう呼ぶのだそうです。

確かに、がんになっても仕事をやめず、

治療しながら職場に通う人の話を多く見聞きするようになりました。

患者が生きがいを失わずに治療に臨めるという意味では

大変好ましいことだと思いますが、

実際には、治療と仕事の両立には多くの課題があるようです。

厚生労働省が発表した患者体験調査報告書(平成30年度)によると、

がんと診断を受けて退職・廃業した人は就労者の19.8%、

そのうち、初回治療までに退職・廃業した人は56.8%にものぼるとのこと。

がん患者が治療をしながら仕事を続けるための社会環境が

まだまだ整っていないことが伺えます。

知り合いの会社経営者は、

「がんになった社員とどう向き合ってサポートすればいいのか分からない」

と言っていました。

がん患者のメンタルサポートや社会活動支援はもちろんのこと、

企業へのアドバイス・支援体制の充実化も必須だと感じています。